moizee2005-11-28

天草下島一周サイクルマラソン】レポート

約束の地へ、再び。(その1)《初出:2006−03−06》

九州の自転車乗りにとって春の定例行事とも言える【天草下島一周サイクルマラソン】。今年サイクランドおくぐちより参加したのは、

・928さん(今回の発起人にして天草サイクルマラソン隊長)
・福さん(サイクランドおくぐち仮店長)
・N武さん
・N口ファミリー(パパ&R馬クン&おねぇちゃん)
・moizee

以上7名(順不同)。

N武さんの運転するアストロ(928さん+福さん同乗)とワタシの運転するファンカー号は高速道路のSAで待ち合わせ後、一路天草へ向かう。N口パパの真っ赤なポルシェ・・・じゃ無かったフィットは、都合により単独で天草へ向かう。野を越え山を越え、ときおり現れる海を眺めつつひたすらクルマを走らせると、本日の宿泊先に無事到着。

昨年の教訓から、今年は新和町緑の村キャンプ場のバンガローへ宿泊することに。4名用バンガローに7名が宿泊(!)するという荒業ではありましたが、『狭いながらも楽しい我が家』なのです。

各自器材のチェックを済ませ、夕食。キャンプ場の管理棟でカレーとおでんを食べつつオトナの麦ジュースをグビグビ(コドモはジュース)、食後はバンガローでオトナの麦ジュース&ショーチューをグビグビと、キンチョー感とは無縁の前夜祭なのでした。

約束の地へ、再び。(その2)《初出:2006−03−07》

一夜明けて【天草下島一周サイクルマラソン】当日。バンガローを早々に引き払い、受付会場となる新和町役場へ。まだ朝7時前だというのに駐車場はほぼ満車で、参加者の皆さんは出走前の準備に余念がありません。

私たちも受付終了後に会場内の町民センターで朝食を済ませると、バイクの組み立てや着替え、あるいは旅先でのアバンチュールに備えてヒゲを剃ったり歯を磨いたり(ワタシだけ?)。

ひととおり準備が終わり固定ローラーでウォームアップをしていると、じんクン&はね吉っつぁんコンビが登場(写真参照)。『たかが100kmコースなのに、なんでアップしてんのぉ?』などとスルドイ事をのたまう、じんクン。ほら、よく言うじゃない!『獅子はどんな小さな獲物を捕らえるにも全力を尽くす』って。そういう事にしといて下さい・・・。

ここで、【天草下島一周サイクルマラソン】をご存知ない方のために、ちょっとご説明を。


(財)日本サイクリング協会新和町が主催するサイクリングイベントで、風光明媚で温暖*1熊本県天草下島(詳しくはYahoo!地図情報を参照)を舞台に、

・Aコース:145km(天草下島1周)
・Bコース:100km(Aコースの一部ショートカット)
・Cコース:25km(ファミリーサイクリング)

上記3つのコースが設定されており、参加者それぞれが自分の経験・脚力・チャレンジ精神に基づいてコースを自由に選択可能なイベントです。あくまでもレースではなく、従って順位は公表されません。それでも、熊本県サイクリング協会のホームページに全員の完走タイムが公表されるので、自分の力量を測る良い目安となります。

開会式と説明会は滞りなく終了し、8時50分よりA・C・Bコースの順番でスタート。今回サイクランドおくぐちより参加したメンバーでAコースで出走するのは928さんただ一人。あとの6名はBコースでの出走となります(N武さんは体調不良により急遽AコースからBコースへ変更されました)。

そしてワタシは9時45分にスタート。ヒザを故障後、始めてのロングライド。いかなる展開が待っているのか?全く予測不可能な旅立ちとなったのでした。

約束の地へ、再び。(その3)《初出:2006−03−08》

スタート直後からAコース(145km)は海岸沿いへ、そしてワタシが出走するBコース(100km)は山岳ステージへ分岐。ポラール心拍グラフの茶色線で示すようにジワジワと高度を上げていく。

心配していたヒザに違和感は無く、少〜しずつペースを上げていくと、前方にハリウッド俳優のような長身痩躯の速い方を発見。その瞬間ワタシは思いましたね。『このお方について行けばきっと速く走れる!』と。2人で先頭交代しながらガンガン飛ばしていると、先方から『速いですねぇ!』とヒトコト。恐らくは社交辞令なのでしょうが、ホメられるとすぐ有頂天になるワタシは内心『そうかしら、ウフフ!』と上機嫌。

フライングスタートした福さんを抜き、途中からHITACHIの黄色いジャージを着た方を加えた3人で、(ワタシにとっては)尋常じゃないスピードをキープしながら順調に走っていく。ところが、上り勾配がキツくなったところでワタシだけがペースダウン。『もうダメ、ギブアップぅ〜』とワタシが叫ぶと、『がんばろう!』とHITACHIさんが声を掛けてくれるも、みるみるうちに離されてしまう・・・。

『まぁ、いわゆるこれが実力の差なのねェ』とひとりごちながら、『長丁場なんだから焦ってもしょーがない』と割り切り、黙々と前へ進む。

そんなこんなで山岳ステージは終わり、Aコースと合流。昨年ワタシはAコースで出走したので『この場所覚えてる!』と、ちょっと懐かしい気持ちになる。昨年はわき目も振らずにガムシャラに走ったのに、意外と無意識のうちに風景を見ているものなんですねぇ。何だか故郷に帰ってきた気分。このイベントにリピーターが多いのも、このあたりに要因があるのかしら?

そしてBコースのスタートから32km(Aコースでは74km)、昼食&チェックポイントの旧大江中学校跡地へ到着。ゼッケンNo.をチェックしてもらうと『昼食は豚汁になりまぁす』とのこと。そして周囲に立ち込めるミソのかぐわしさ。『ああっ、食べちゃおうかなぁ』と誘惑に負けそうになるが、断腸の思いで補給食のTOPTENをグビリとひとくち含み、急いでその場を立ち去る。あぁ、空しい。

なぜ食事を摂らないかと言うと、昼食ポイントの直後からヒルクライムとなるのです。勾配は程々ながら、ダラダラと続く長〜い坂とトンネル。昨年は思いっきり昼食を食べてしまい、ヒジョーにツラかったのです。『昼食を摂るべきか摂らざるべきか?』なかなか難しい選択ですなぁ。

途中、下りで突如現れたジャリ道にビビりつつ中間地点を通過した辺りから、『天草の魔物』が牙をむくのでした・・・。

約束の地へ、再び。(その4)《初出:2006−03−09》

Bコースの中間地点に差し掛かった辺りから、遥か彼方に苓北発電所のデッカイ煙突が見える。この辺りから天草名物(?)向かい風が吹き始める。

折りしも、ワタシの前後に人影は無く、完全な『ロンリーひとり旅』状態に。良く言えば『体力と根性が試される絶好の機会』悪く言えば『単に単調でダルいだけ』となり、漕げども漕げども一向に近づいてこない発電所の煙突が、苛立ちを更に増大させる。あぁ、昨年もこんな感じだったっけ、ひとりはツラいなぁ・・・。

それでもひたすら前進すると、あんなに遠かった発電所がもう目前に。『ざまぁ見やがれ発電所!オレの勝ちだゼ』などと九電関係者に聞かれたら怒られそうな捨てゼリフを吐きつつ、足早に立ち去る。

途中、『おっぱい岩』なるセクシースポットをニヤニヤしつつ通過すると、二江漁港の最終エイドに到着。すると、そこにはN武さんがいるではありませんか!お互いビックリ!!
そして疲労困憊したワタシを見かねたのか、エイドのうら若き乙女が『飲み物とお菓子がありますけど、どれになさいますか?』とニッコリ。すかさずワタシは『あなたの愛が欲しい!』と、ありったけの想いをぶつける。見つめ合う瞳と瞳。そして『私の愛でよければどうぞ〜』と乙女が差し出したのは冷たい水。ちょっとだけ涙の味がしました・・・。

コースは終盤の市街地に差し掛かり、交通量が次第に増えてくる。もはや神経は磨り減り、クルマや信号に気を遣う余裕は無い。『きっと事故はこういう時に起こるんだろうな〜』と思いつつ、補給食のTOPTENを飲んで(気分だけでも)元気をチャージする。もうすぐ、もうすぐでゴールだ。

向かい風は更に強くなり、あたかもブレーキを引きずって走っているかのよう。極度の疲労で、呼吸するのもひと仕事だ。まるで肺が潰れたかのように感じる。ふとポラールに目をやると、間もなくスタートから3時間30分。『これはひょっとしたら、100km自己最高記録か?』と自分自身を鼓舞しながらペダルを漕ぐ。

そしてゴール。熊本県サイクリング協会の完走記録によれば、タイムは3時間33分23秒。ヒザを故障後、最初のロングライドとしては最高の結果なのでした。まぁ、残念ながらアバンチュールは成就しなかったけどネ!

天草 総決算!《初出:2006−03−10》

天草下島一周サイクルマラソン】参加レポートは本日で5日目。いちおうの最終回という事で、ここまで書ききれなかったネタを一挙大公開!

結果発表!

サイクランドおくぐちより参加した7名の結果は如何に?

  • Aコース(150km)
    • 928さん:痛恨のリタイヤ
  • Bコース(100km)
    • N武さん:完走
    • 福さん:完走
    • N口ファミリー(パパ&R馬クン&おねぇちゃん):全員完走
    • moizee:完走

完走記録は熊本県サイクリング協会のホームページを参照頂くとして、何といっても特筆すべきは“N口ファミリー”でしょう。家族でBコースにエントリーする事自体スゴイけど、全員が完走しちゃうんだからアッパレであります。特に、写真のR馬クンはセンチュリーラン・MTBレース・バンク走行と、そこいらの“自称”自転車乗りも裸足で逃げ出す、実力の持ち主なのです。こんど一緒にロードレースに出ようナ!

ヒジョーに残念だったのは928さん。今回のメンバーでは唯一Aコースにチャレンジしたものの、100km地点(でしたっけ?)でメカトラブルによりリタイヤ。そのメカトラブルの写真がコチラコチラ。不運としか言いようが無い・・・。詳細は本人にレポートを寄稿して頂きましょう。という事で、928さんコメント欄に記入ヨロシクです。

写真を大公開!

前夜祭の模様はコチラ。当日の模様はコチラ

次回、参加される方に(僭越ながら)アドバイス

  • ウェアについて

今回、出走中の気温は最低:11℃,平均:16℃,最高:21℃。快晴ということもあり、自転車に乗るにはちょうど良い気象条件でした。
ウェアは、半袖ジャージ+ヒザ丈のレーサーパンツ+アームウォーマー+レッグウォーマー+薄手のソックス+薄手のフルフィンガー(指付き)グローブ+超薄手のウィンドブレーカーといういでたちで、ちょうどいいくらいでした(但し、コース中盤のヒルクライムで汗ばんできたため、ウィンドブレーカーは途中で脱ぎました)。
ひょっとするとウィンドブレーカーは必要ないかな?まぁ長丁場でもあるし、イザという時の保険の意味も込めて携行した方が無難かなぁ、とも思います。

  • 補給食&水について

当初はエイドに寄らない方針だったので(ちょっとお邪魔しましたが)、補給食はエネルギー補給ドリンクのTOPTEN(360kcal)×2本、1本はボトルの水に溶かして、水と一緒に常時補給しながら走行しました。もう1本はジャージのポッケに入れ、『身体がシンドいなぁ』という時に原液をヒトクチ。合計2本で(Aコースでは)ちょうどいい量でした。

水は大ボトル(750cc)×1本、TOPTENを溶かした小ボトル(625cc)×1本を携行。結果的に大ボトルにはいっさい口をつけず、よって750gのムダなウェイトを付けて走行していた事に・・・。途中、エイドや自販機で水分補給は可能でしょうから、小ボトル1本または少し余裕を見て大ボトル1本でもイイかも。あぁでも、Aコースだったらやっぱり2本のほうがイイかも?

  • お金について

ワタシが橋の上を走行中、道路に何やら黄色い物体が。それはMAVICのボトルでした。『誰ェ?こんな所にボトルを落としたのは?』と思ったら、それは何と!N武さんのボトルだったのです。ゴール後に聞いた話によれば、気付いた瞬間には既に周囲にボトルは無く、ノドが渇いたので仕方なく自販機でスポーツドリンクを購入したとの事。

やっぱり、お金は念のため持っていたほうが良さそうです。何が起こるか分からないからねぇ・・・。

  • その他あれこれ
    • 新和町緑の村キャンプ場のバンガローは、4名用でも7名宿泊可能です。事前にTELで交渉してみてネ。
    • 新和町緑の村キャンプ場のお風呂はちょっと狭いです。もし時間があれば、事前に温泉にでも入ってから現地入りしたほうがイイかも。
    • スケジュールに余裕があれば、前泊したほうが絶対イイです!バンガローや公民館の予約はお早めに!
    • イベント当日の朝、新和町役場前の駐車場はアッという間に満車になります。朝7時までには駐車しましょう。
    • 今年はポカポカ陽気でしたが、ワタシが初参加した昨年は雪景色でした。チョー寒かったっス。念のため厳冬期装備をお忘れなく!
    • 福さんは2回もパンクしたそうです。パンク修理キットは必ず携行し、事前に修理の練習をしておきましょう。
    • イベント終了後、天草を脱出するまでには相当の時間がかかります。途中か〜な〜り〜渋滞しますので、運転される方は覚悟しておきましょう(笑)。

まとめ

当初、A・Bコースのいずれかで相当迷った挙句に、苦渋の決断でBコースにエントリーしたのですが(そのあたりの経緯はコチラ)、今になって振り返れば、Bコースでも大満足でした。

みんなァ!来年も行こうゼ!!

*1:昨年は雪でしたが・・・